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木星会議 2015

 今回で38回目を迎える木星会議2015は、明治大学駿河台キャンパス・リバティタワー)で開催された。
今年の木星会議では、これまでとはやや趣向を変え、初めて参加する人でも十分に木星を堪能できるように、アマチュアも貢献できる科学としての木星観測とそこから導き出せる有意な結果の導き方などをメインに行った。

 いつもの木星会議では、自己紹介、近況報告、研究発表の順番で行われるが、近況報告や研究発表をよりよく理解するために、これまでの木星観測の歴史をたどったうえで、観測の原点であり、記録として残すための木星スケッチを実際に行うことになった。
 木星スケッチ観測のベテランである堀川さんから、スケッチに必要な道具やプロセスのレクチャーを受けたのち、月惑星研究会の繭山さんが持参したスケッチ用紙が配布された。
スケッチの元となる画像は去年11月23日に兵庫県の永長さんが撮影された画像から作成した疑似木星の画像を使用した。
それを画面に流して、参加者が一斉にスケッチするという方法で行われた。
スケッチははじめという学生から、数十年ぶりのスケッチというベテラン方も一緒にスケッチを取った。
 その後は、堀川さんから眼視観測からわかることとして、以下の事項を挙げられた。
・スケッチから展開図を作成する
 ・CMTからドリフトチャートを作成する
 どちらも、模様を同定して、形状や位置の変化を明らかにすることが目的とされた。
ここで、ドリフトチャートは日付を縦軸、経度を横軸にとってCMTをプロットし、展開図を日付順に並べたものと同じイメージになるので、模様の動きを直感的に把握しやすいとされた。
そして、個々の模様を同定する際には展開図の助けが必要とされた。
さらにドリフトチャートと展開図を使って、個々の模様が同定できれば自転周期を求めることができると結ばれていた。
木星を堪能するセッションが終わった後、会場で集合写真を撮影したのちに、懇親会・二次会が行われた。

 木星会議2日目、1日目の木星を堪能するセッションを踏まえて、近況報告及び研究発表が行われた。
ちなみに教室は前日に比べて狭かったこと、参加者が多かったことから、すし詰め状態であった。
それはともかく、近況報告として、堀川さんによる「2014-15シーズンの木星面」の発表が行われた。
ここでは、主に以下のことについて取り上げていた。
①大赤斑と循環気流(?)による暗部の発達
 (前回は、2000年7月~10月)
②永続白斑BAとSTBの活動サイクル
③SSTBと高気圧的小白斑(AWO)
④SEBの活動(謎の明部とSEB北部の明化とpost-GRS disturbance)
⑤NEBの拡幅現象とWSZ
⑥北温帯地方の活動(NTrZの白斑WSZ、北温帯攪乱、NTZバージと北温帯-Bの暗斑)

 大赤斑と循環気流(?)による暗部は、2014年10月から2015年1月ごろまで継続していたもので、RS Bay後方にカギ爪状の暗部が出現、RS前方のSTrZにdark steakを繰り返し放出していたことが報告された。
さらに大赤斑はシーズンを通して輪郭が明瞭でオレンジ色が鮮やかだったこと、長径が14.2°と2009年以降続いていた短縮はストップしていると報告された。
そして、大赤斑の今後として、以下の予想を述べられた。
・大赤斑は今後も縮小を続けるだろう
・東西方向のジェットストリームに挟まれている大赤斑はSTrZの幅より小さくなることはできない?
・カシニの斑点との相似性を考えると、あと50年+α程度の寿命か?
 ちなみに近況は10 時までの予定であったが、大赤斑を中心に話が盛り上がって、予定時間をオーバーして活発な議論が行われた。

休憩を挟んだ後、研究発表が行われた。
A. 明治大学天文部の惑星観測:龍華良典
 OBからの寄付金で設置した30㎝の望遠鏡による撮影、フィルターによる分光観測、なよろで閃光観測を行っていることなどが紹介された。

B.Raw Therapheeの使い方:三品利郎  フリーソフトであるRaw Therapheeの特徴や設定、画像処理のプロセスなどを紹介されていた。特に、特徴として以下のことを紹介された。
・Raw現像&画像の色やシャープネスなどの様々な画像の調整ができる。
・ディデールレベルのコントラストを調整するウェーブレット変換の機能がある。
・ダークフレーム、フラットフィールドが使える。
・色やシャープネスなどの調整は、bmp/png/tiff/jpgの画像にも使用できる。
・パラメータを保存して再利用ができる。
・日本語のマニュアルが充実している。
なお入手方法として、以下のHPなどを紹介されていた。
公式ページ(英文):http//rawtherapee.com
ダウンロード:http//rawtherapee.com/dowmloads
解説ページ:http//50.87.144.65/~rt/w/index.php?title=Main_Page/jp

C.イメージセンサーの基礎知識:山崎明宏
光の性質に関する解説があったのちに、スペックが似たようなセンサーの採用で悩む場合は、飽和電荷量、QEが大きい方にすること。
撮影対象により影響を受けるノイズは異なるので、その性質をよく理解することなどを紹介された。

D.木星表面構造の分光観測計画:岩崎和人(明治大学理工学部)
 木星大赤斑の分光観測を行うにあたって、試験的に土星で分光観測を行った。
その結果、分光データが正確だったことがわかり、大赤斑のみを分解して観測可能と分かったことが紹介された。

E.木星面に見られる波動現象:田部一志
 木星面には、縞‐帯構造などの数十億前から続いている模様がある一方、SEB攪乱など数ヶ月の寿命しかない模様がある。
この中で波動と思われるものとして、1998年に発生したmid-SEB outbreakや、2010年の12月20日にSEBsで見られたウロコ状の波模様などを挙げられ、成因に関する考察をされていた。

F.RSの緯度変化:鈴木重則
2000‐2015年都庁までのRSの緯度を計測した結果、以下のことが判明したと報告された。
・RSの緯度は、あまり変化していない。
  ・BAとの通過時でもRSの緯度変化は見られない。

G.北熱帯の長命な白斑WSZ:堀川邦昭
1997年から北熱帯地方に存続している大型の白斑(BAAのRogersによりWSZと命名)の変化に関する報告をされた。
この白斑は、以下の特徴がある。
・1996年から97年にかけてのNEB拡幅の結果、ベルト北縁に7個の小白斑が形成された。WSZはその中の一つ。
サイズと白さは他の白斑と変わりはない。
・NEBの幅の変化によって様相が変化している。
・これまで北熱帯の他の模様と衝突・合体を繰り返している。
そのたびにWSZは成長して、北熱帯の「ぬし」的存在となった。
・体系Ⅱ系では、すでに木星面を6周半しており、平均のドリフトは、‐0.35°/dayと同じ緯度にある模様と比較して遅い。
・一時期、赤みを帯びていた時期があった。メタンバンドでもRSや永続白斑のように著しく明るい。
 これらのことから、今後WSZは北熱帯の大赤斑となるか?と結ばれた。

最後は、田部さんによる簡単な総括の後、明治大学天文部の吉田さんの挨拶で2日間にわたる木星会議が無事終了した。

以上
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